口を取られた男



触ったら壊れてしまいそうで

触れなくても壊れてしまいそうで


だからただ見守るしかなくて

けどきっと君は淋しがりだから


きっと柔らかな綺麗な手に触れてほしくて


できれば君をずっと好きでいてくれて

できれば君に安心をずっと届けてくれて

できれば君をずっと愛してくれるそういう手に


友達の一人もいなかった 君のその心に触れているよ


「ありがとう

あのね聞いて

ありえないことが起こってるんだよ」



『とても大変なことなの!!』




「人に心を読まれてるの

どこにいても 何をしてても 心を読まれてる

電車の中でだってそうなんだ

仕事をしていてもそうなんだ

どこかの会場に行っても

人が大勢いるところに行ってもそう

話したこともないのに

思考の中も全て読まれてる

全て見透かされてるの

怖いし、嫌だし、笑われてるし、とても恥ずかしい

例えば 向かいの女性に触れて見たいな 

みたいな感情も全て 

筒抜けなんだ いつからそんな世界なんだろう

すごく不快だし、すごく嫌なの

僕をすでに知ってるかのように

僕の話をされてるきぶんになる

勝手に解釈されてるし

勝手にシンクロしてるし

勝手にそう読み込んでいるのかもしれないけれど

頭で思ったことも

心で感じてることも

全て覗かれてる

見えない声で話したことが全て伝わってるの

感じ取ったことが全てみんなに伝わってるの

どうしよう 

こんな風に誰かと会話なんてしたくなかった

ちゃんと喋りたかった

ちゃんと口から全て言いたかった

見えない何かに口を取られてしまったみたいなんだ。

僕の心の口も 頭の口も 

見えない何かに取られてしまったみたいなんだよ

どうしよう ねぇ どうしよう」





うん。そうだろうね。君は目立つんだよ。


興味の対象になりやすいね。


どうしようなく君は綺麗な心を持っているからね

どうしようもなく純粋で どうしようもなく無邪気だから


そして君もそれをどこかで望んでいたんじゃないの?


僕と話してる時は、それを感じる?


僕はちゃんと君の話を聞いているよ。


君のその口から君の話をちゃんと聞いているよ。


見えない何かなんて関係ないし、見えない声なんて関係ないよ。


そんな誰かも名乗らない、人かも何かもわからない、


そんなの相手にしなくていいよ。



君は君の口をちゃんと持ってるよ。

そしてきっとその人たちも動かされてるよ。


その人たちも話させられてるよ。

その人たちもきっと見たくないだろうし


知りたくないだろうし

話したくないかもしれないよ


君はその口で話したい人に君の話をしたらいいよ。


「わかってほしい。認めてほしい。知ってほしい。」


うん。大丈夫。ちゃんと聞いてるよ。ちゃんと認めてるよ。


誰でもいいの?


「愛してほしい。抱きしめてほしい。そばにいてほしい。聞いてほしい。」


うん。大丈夫。どんどん素直になって。



「異性に僕と一緒にいてほしい」

「誰かと繋がりたいんだ」

「してほしいことがたくさんなんだ」

「ほんとにとてもとてもしたいことだらけなんだ」


ほんとに誰でもいいの?


ううん。誰でもいいわけじゃない。


君が話したいと思った人に話して見て


こうして見てもいいし、

それでも孤独を感じるならば


電話しなよ

会いに行きなよ

そう思える人に


怖がらないでいいよ。



きっとその人は君の話を聞いてくれるから。


君といたいと思う人はきっといるはずだからさ。



希望は捨てないでいいと思うよ。


君の欲望も要望も全て叶えてくれる人が必ずいるよ。


そして、それは一人だけじゃないよ。


君は誰なの?



「未来の君かもしれないね。」

「未来の君はとても穏やかだよ」

「未来の君はとても朗らかだよ」

「愛する相手に恵まれて子どもだっているよ、それも3人も・・・」



ほんと?



「そうさ。幸せに毎日を過ごしているし、今の君からしたら考えられないくらい多くの友人たちと楽しく暮らしているよ。」


「そして君の夢だったこともいくつかちゃんと叶えられているよ。」

「楽しみにしててね。」


わかった。ありがとう。


「そして君にいっておくよ」

「全て大丈夫だから。」

「ほんとに全て大丈夫だから。」

「ほんとに全て大丈夫だったから。」

「安心しててくれ。」




ねぇ 君は誰なの?

魂の詩人要蓮

いつもこころに太陽を。

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